三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零



親父はオーナーと親しいらしく、
何やら会話を始める。

あーあ。
また暫く、
店から離れることはできなさそうだ。

俺は静かに溜息をついた。


「一か月ぶりじゃないかしら。
会えなくて、寂しかったわ」

「…忙しくてね。
そうだ、何か面白い情報とか
集まって来てないかい?」


親父の指に触れていたオーナーが
「うーん…」と唸る。


「そうねぇ…
これといった情報はないかしら」

「そうか……それは残念だ」

「あっ、そうだ。
そう言えば、黒蛇(くろだ)組が
新しい風俗店を立て続けに
出してるって本郷組が
不満げに漏らしてたわよ」


黒蛇組?
始めて聞く名前だ。