んー。中々見つからない。


「ないね。」


「う、うん。もう遅くなるし帰ろう?」


「じゃあまた明日探そうか。」


「いいの?」


「うん。大事なものなんでしょ。」


少し胸がときめいた。
大事なものだと分かってくれていたことが嬉しい。


「ありがとう。五十嵐くんは優しいね。」


「そんなことない。」


表情はひとつも変えず何を考えているのかわからないけど、少し照れているのかなと思った。


帰る準備をして廊下に出た。


その時何か見覚えのあるものを見つけた。


あれって、、


「あ!あった!!五十嵐くん、あったよ!廊下に落ちてたみたい。」


「よかったな。」


「ごめんね。あんだけ探したのに結局廊下にあったし。」



「気にすんな。」



「う、うん。」



教室で探していた時間は五十嵐くんにとっては無駄だったかもしれないけど、私にとっては充実していた時間だった。


無表情だったけど一生懸命に探してくれている横顔を見てドキっとした。