一人でもできると思ってたけども意外にも男も引かないものだからこの店の中でも一番敵に回したくない人物である。佐藤さんを呼んだはずだった

しかし

「お待たせしました。どうかされましたか?」と明らかに佐藤さんとは違う声が聞こえた…


やばい、この声は…

スッと私の横に立つその人は…


「……あ…あさ…朝野さん…」

朝野さんだった…

あー…どうしよう…いやまぁ、上の者ってのは合ってるよ?確かに佐藤さんより上の立場だけども…

「おい!この女が買ってからだいぶ立ってる場合返品は、できないってほざくんだが!!どういうことだ!!」と男は、相変わらずのように喚く。

「そうですか、ですが当店は返品の場合は買ってから一週間限度とさせて頂いてます。どうしてもと言うならばそちらの商品と同じ価格で返金だけさせていただくこともできますが?」と穏やかにそう言う朝野さん。


うわぁぁ、さすがベテランは違うなぁ


そんなことを思ってると仕事用のスマホからメールの時の音が流れた。開いてみると



『:あやちゃんへ
ごめんねーこっちも手が離せない状況だから、近くに居たヒデをそっちにやったから安心して。多分この時間だと常連のクレーマ野郎かもしれないと思ってね。
あやちゃん可愛いから気を付けなよ!意外と頼りになるからそこら辺大丈夫よ


PS 今度、新しく出店したケーキでも食べに行かない? 佐藤梨華より』

この人どこかで見てるとかではないだろうか…少し怖い…というか、朝野さんに対してさらりとディスてませんか?


私は、スマホを閉じポケットに突っ込みまた男を見た。どうやら返金という形になるらしい



これで終わりかと思ってると

「…でもまぁ、おたくの新人店員はホントに役に立たないなぁ。まぁしょせん女は、男に尽くすだけだからなぁ、出来なくて当然だ。そもそも…」


今度は、私の対応への不満いや、私への不満を言い始めた……

が、慣れてる為無視をしていると…

バーーン!!と物をものすごい勢いで叩く音が店内中に響き渡った。
ビクッと体がびくつながらその音の方へと視線をやると……

今までに見たことがないぐらいの素敵な……ではなく、目だけ笑って口元が笑ってないというような恐ろしい表情をした朝野さんがカウンターに手を置いていた。目だけでも数人殺ってそうな、と言っても可笑しくないだろう。
彼の周りだけ身震いするほどの殺気が漂ってそうだ…

「…あ…あの…朝「お客様…」…」


「ひぃ…」


「確かに彼女は、まだ新人ですからミスもします。お客様から見て対応もなってないかもしれませんが…一度も役に立たないなんてことはありません。
彼女がここに入ってから当店の空気は、さらに明るくなり彼女のおかげで変われた人もいます。そして、外に張ってあるPOPだって彼女が一人で作ってます。
もちろん、売り上げも少しですが良くなりました。きっと彼女は、さらに成長します。そのために私たち上がサポートしてます。
なにより、うちのお店に役に立たない人なんていません。そして、女や男なんて関係なくお客様が気軽に入れる店を目指してます。これ以上とやかく言うならば次は、警察を呼びますが?」と言いスマホを見せる

既に画面には110 と表示されている。

あ…あの、押す気満々じゃないですが…

が、ここで口出ししてはいけないと本能が告げる。私は、本能に従い口元をきゅっとさせた。

男はというと、顔を真っ青にしながら体を震わせ


「くっ…に…に…二度と来るかこんなお店!!」と大声を張り上げ逃げるように店から去っていった。


静かになる店内

殺気に満ちた朝野さんと


二人きりになってしまった………


何を言えばいいのか分からずおろおろしてると


「…ふぅー…木崎さん大丈夫?」といつもの声で話しかける朝野さん


「…………あ、…は…はい…」

正直大丈夫ではない。なにせ、とんでもないほどに怖い朝野さんを見てしまったから


多分、いや…佐藤さんなんかより絶対に敵に回してはいけないのは、朝野さんだろう…


意外と頼りになるからそこら辺大丈夫。じゃないですよ佐藤さん!!!怖いよ!!怖すぎだよ!!

「……世代が違うとさ、分からないよね。ジーンズの種類って…でも、さすがにあれは酷いなぁ」と笑いながら言う朝野さん


「…そうですね…」


頼むから誰か来てと思っても超能力者じゃあるまいし、そう良い具合に来てくれる人などいない。