ヴァンパイア†KISS

「今夜確かにここにヴァンパイアはいた……。ヴァンパイアめ。私の動きを探るためにとうとう姿を現したな」

理事長がつぶやくようにそう言うと、部屋の隅から突然現れた助手らしい金髪の女性が理事長の腕の止血を始める。

「理事長。やはりブルースがヴァンパイアでしょうか?」

表情は見えないが、落ち着いた口調でそう声をかける女性。

「そうだろうな…。だが、奴は小者だ。放ってほけ。ヴァンパイアは一匹狼だと思われがちだがそうではない。奴らは人間なんかよりもはるかに仲間意識が強い。たとえ小者でも人間が手を出そうものなら徒党を組んで押し寄せてくるだろう。それはこのキングストンの100年あまりの歴史で経験済みなのだ」

「では、ヴァンパイアの主が現れるのを待つつもりですか?」

「主か……。そいつはかなりの確率で今夜ここにいたはずだ。小者を一人で敵地に寄越すような頭の悪い連中ではない。……今夜目立っていたあの二人…ヴァンパイアと見た。用心深いヴァンパイアが人目に姿をさらすというのは、我々への宣戦布告ということかもしれんな…」

目立っていた……二人…!!

デュオとルシアのことだ…!

わたしは両足がガクガクと震えるのを必死で抑えた。

「理事長はなぜ、あの二人をヴァンパイアだと…?」

「…ヴァンパイアは、どんな人間よりも優雅で甘美なダンスを踊るのだ。奴らは地下でダンスを踊りながら暮らしていた。ダンスは奴らの極上の生業なのだよ」