ピチャン……。

水の音が聞こえる。

エマとウルフの夢を見ていたわたしは、研ぎ澄まされた夜の空気のなかで、異質な音に目を覚ました。

「そっか…夢を見ていたんだ…」

隣を見るとサラが気持ち良さそうに寝息をたてていた。

「エマとウルフ……だんだん夢のなかで二人がわたしに近づいてくるみたい…」

デュオとキスをするたびにエマの意識に触れる感覚が強くなる自分に不思議な違和感を感じながらも、二人のことが知りたいと思う自分もいた。

エマ……あなたはわたしに何かを伝えようとしているの……?

ピチャン……!!

そこでさらに大きな水音が部屋の外から聞こえて来て、わたしは恐る恐る立ち上がるとそっと部屋のドアを開けて外をのぞいた。

「な…に?」

音は地下から聞こえてくるようだった。

2階のこのサラの部屋をそっと抜けるとわたしは思い切って地下を目指した。

真夜中のお城はさきほどの煌びやかさとは打って変わって湿めっけたっぷりの不気味さを漂わせていた。

怖いけど……なぜか気になる。

でも、夜目が効く様になった気がするのは気のせいだろうか…?

こんなに真っ暗闇なのに、小さなロウソクでも持っているかのようなぼやっとした灯火がわたしを包んでいるように視野が広がっていた。