「カレン、ドレスどれがいい!?」

パーティまであと1時間あるという午後5時。

わたしはお城の2階にあるサラの部屋で、サラがモデルの仕事で着用したという豪華なドレスの数々を見せられていた。

「サラ、どれも素敵だけど、サラとわたしじゃ身長が違いすぎるよ。絶対着れないってば」

サラは30着ほどの色とりどりのドレスをクローゼットから取り出すと大きなベッドの上に次々と並べていく。

「大丈夫よ。すぐに直しいれてもらうから。ここには各種専門のスタイリストが常備されているんだから、そんなのなんの問題もないわ」

サラは自信ありげに微笑むと、「これなんかどう?」と白のシフォンドレスを勧めてきた。

「う~ん、そうだなぁ」

一通り見回して、ある色に惹きつけられてそこで目が止まった。

「サラ、あのバイオレットのドレス……わたし、あれがいいな」

赤にほど近い紫の艶っぽい色。

ドレスのサテン生地が美しく光り輝いていて、大人っぽい雰囲気がとても気に入った。

それに………バイオレットは、デュオの瞳の色と同じだから。

肩はぱっくりあいているけれど、ストールでキスマークは隠せるし、胸のレッドローズのコサージュがとても素敵だった。

「わかったわ、カレン!じゃ、さっそくこれをカレンのサイズに直してもらうわね!」