それから9日間。

わたしは頭痛も体の震えも治まり、あの仮面舞踏会以来久しぶりに落ち着いた日々を送っていた。

でも体が落ち着いたのとは裏腹に、心はデュオのことを想うと、ざわざわと波の満ち引きのようにざわめいて会いたい気持ちを抑えるので精一杯だった。

「デュオ……」

部屋の壁に掛けてあるデュオが置いていった黒のトレンチコートに顔をうずめる。

「ふ……」

コートに微かに薫るデュオの匂いを嗅ぐだけで、涙が出てきてわたしは嗚咽をもらした。

会いたい……。

『他の男とキスしたお仕置きだ』

もう、他の人となんて、キスしないよ。

『お前はまた10日間、私の獲物だ。その間、お前のキスの快感は私だけのものだ』

もうあなた以外の人と、キスなんてできないよ……!



デュオ、早く会いに来て。


そして、あなたのキスでわたしを縛って。


……もう10日がたっちゃうよ……。


デュオ、会いたい!!