「あ、あの、あなたがあの夜の人と違うことはわかっています。でも、これもせっかくの出会いだって思うし、あなたもわたしとは初対面だとわかってて会ってくれたんですよね?」

アレックは緊張で顔を赤らめているわたしをじっと見つめたまま立ち尽くしていた。

そして少しの沈黙のあと、切れ長の瞳の目尻にしわを寄せて微笑むと、

「サラの頼みだからね。僕は彼女のファンなんだ。嘘をついてでも彼女に会いたいと思った。でも僕は、実際に二人を目の前にしたとき、君のほうに興味がわいたよ。なぜだろうね。……うちには素敵な室内プールがあってね。全面ガラス張りで星も見える最高の部屋なんだ。せっかくだからそこで話をしようか」

ゴクリ……と喉がなった。

彼の誘いを受けたら、わたしはどうなってしまうんだろう…!

でも、この頭痛も微かに震える体も、このままじゃどうにもならない!

わたしは優しく肩を抱くアレックにされるがままに。

キスの呪縛に捕らわれたかのように、彼が促すまま震える手を押さえると、室内プールへと足を向けていた。