わたしたちはお手伝いさんに促されてリビングへと通されると、アンティークで高価な家具がずらりと並ぶ部屋に10分ほど待たされた。

「お待たせしたね」

ドアの外から聞こえた声にわたしは思わず立ち上がった。

まず目に飛び込んできたのは、彼の流れるように美しい銀髪で、その次には綺麗な曲線を描く顎に目を惹きつけられていた。

「アレック・オーマンだ。はじめまして、サラ。そしてカレン。あの夜は君のおかげで美しい時間をすごせたよ」

似ている……。

銀髪に整った顔、そして、艶っぽい声と悩ましげな唇、それに背格好も彼によく似ていた。

でも……瞳の色はバイオレットではなく。

アレックの瞳は薄いブルーだった。

やっぱり……違う。

「サラ、あのやっぱり…」

違うと言いかけて、ぐっと唇を締めた。

もしかしたら彼が救ってくれるかもしれない。

キスのことを忘れるには、キスが一番。

サラの受け売りだけど、今のわたしにはそれしかない気がした。

「サラ、この人かもしれない。二人きりで話がしたいの。いいかな?」

思い切ってサラにお願いすると、サラはすぐに納得したように微笑むと席をたち「じゃあ、先に帰ってるわね」そう言って部屋を出て行った。

………試してみよう…!!