サラが見つけたという銀髪の男は10人だった。

あの仮面舞踏会に参加していた500名のリストをキングストン家の広い人脈を駆使してかき集め、その中から銀髪の男を探したところ、銀髪はさほど多くなかったので10名まで絞り込めた、と意気揚々と話してくれた。

彼らはやはり全員イギリスの金持ちのご子息たちで、あの夜も日本の大企業の主催するパーティに招待されていた男性たちだった。

「全員の写真も入手してるから確認してみてよ」

サラはさっそくわたしの部屋へやって来ると入手した写真を広げ出した。

「どう?キスした男がわかる?」

テーブルの上にトランプのように並べられた写真たちを一枚一枚丹念に見ていく。

「う~ん、これは違うなぁ。あ、この人もちょっと……」

この中にあの夜のヴァンパイアがいるかと思うと、ドキドキして顔が強張ってしまいながら。

でもなぜか探し当てたいという気持ちもないではなかった。

最後から2番目の写真にいきついた時。

一際美しい銀髪の男性が目に止まった。

「この人……マスクをつけたらあの夜の人に似てるかもしれない……」

そう。

わたしはヴァンパイアの素顔を見たわけではなかった。

彼は銀色のマスクをしたままだったのだから、ほんとうの素顔は一度も見ていないのだ。

しかも夜で暗くて、ほとんどがキスしていた時間だったから、顔など覚えているか自信は全然ない…。