自分の意志とは裏腹に、わたしの唇が別の誰かの声で言葉を発する。

「ウルフ……。いいのよ。わたしをあなたと同じにして。たとえこのまま死んでも構わない。あなたのキスで死ねるなら、わたしは本望だわ」

これは……エマさんの言葉なの……?

血を吸われていく感覚に全てを奪われて、考える集中力も奪われる。

脳が溶けていくように頭の中が麻痺していく。

「……ジュル!」という一際大きな音が聞こえた瞬間。

「う……」

血の滴った男の唇がわたしの唇を塞いだ。

なんて甘い血の匂い……!!

そしてこの世の甘美を全て連れ去ってきたかのような甘い甘いキス。

男は、時には舐めるように、時には吸い上げるようにわたしの唇を弄ぶと、

「ん…ぁ…はぁあ…!」という我慢しきれないわたしの吐息が漏れるのを待っていたかのように。

甘い血を滴らせる赤い果実で、一気にわたしの唇を突き破った。

血が滴る男の果実は、わたしを極上の快感へと導き、そのままわたしは興奮のるつぼの中で。




意識を失っていった………。