「シエル――――!!」
少年を呼ぶ声に、彼は太陽のような笑顔で振り返った。
草原を照らし始めた満月の下、美しく銀髪をなびかせる麗しい女性。
シエルは母のような存在のその女性に、たぎるような愛しさを抱き始めていることを感じながら、彼女の風になびく銀髪に触れる。
「ルシア…僕はまだ大人になったばかりだけど、愛してくれる?」
ルシアはゆっくりとかみ締めるように微笑み、シエルの頬に触れた。
「何言ってるの?ずっと愛してたのは……わたくしのほうよ」
そう言うと、二人は、どちらからともなく抱き合い、キスを交わし続けた。
シエルの想いが、満月の下、白い粉雪となって降り注ぐ。
(雪よ、降り続け!!………カレンに………………奇跡を!!!)