「ヴァンパイアは、その数を激減させはしたが、今もどこかでひっそりと生きている。彼らは人間の血を吸いさえしなければ、基本的に永遠の命を持っているんだ。我々人間が怒らせたために、彼らは人間の血を吸い純血を汚し、その命を散らした」

理事長はそこでふっと息をつくと、意味ありげに口角を上げてニッと笑った。

「もし、再び彼らがこのキングストンの前に現れた時には、彼らの永遠の命を私は手に入れるよ」

その瞬間、ゾクッと悪寒が走った。

理事長は本気でヴァンパイアが生きていると信じている。

そして、きっと、彼らを捕まえ、人間に永遠の命を与えるための研究材料にする気だ。

理事長は硬直したままのわたしに背を向けると、ドアに手をかけ思いだしたようにつぶやいた。

「あ、そうだ。刻印を刻まれた人間は気をつけたほうがいい。彼らは狙った獲物は逃がさない。彼らのキスは、魔力だよ。人間は、甘美なまでの快感の中で手も足も出ない。そして、廃人のように血をささげさせられるのだ……」

パタン、と音がして病室に一人取り残された。

ヴァンパイアは狙った獲物は逃さない。

甘美なまでの快感に手も足も……。

昨夜のヴァンパイアのキスを思い出して、鳥肌が立ち、両腕で自分を思い切り抱きしめた。

わたし………自信、ない!!

もう一度彼が現れたら………わたしは、必ず彼に引き寄せられる。

そして………もう一度快感を味わいたくなる――――!!!