ドキドキする。

これは緊張?

ううん、不安だ。

この扉を開け放ったら何か予想もつかない事が起こるかもしれない不安。

ヴァンパイアたちの憧れの、ずっと昔から護られてきたヴァンパイアの夢の場所に、今たどり着いたのに……。

デュオがそっとその扉に触れる。

そのしなやかな指が黄金の取っ手を引こうとする瞬間、わたしは思わず声を上げた。

「待って!デュオ!!」

デュオが眉を寄せてわたしを振り返る。

「どうした?カレン」

「…嫌な予感がするの」

デュオはふっと息をつくとわたしの頬にその大きな手を被せた。

「大丈夫だ、カレン。ここは、わたしの故郷だ」

安心させようと笑みを見せるデュオにわたしは思い切り首を振る。

「……でも!!」

でも、でも……デュオ!!

この胸を掻きたてる不安はなんなんだろう。

この扉を開けたくない。

開けたくないよ、デュオ…!!

首を振り、零れる涙を飛び散らせるわたしを困ったように見つめるデュオ。

……その時、何かがわたしの胸元で輝いた。