「カレン、あなたはデュオを愛しているのでしょう?」

エマがそっとわたしの頬に触れ、涙を拭った。

「100年たっても、愛しているのでしょう?」

エマの青の瞳から目を逸らさずに見つめる。

その瞳がわたしの心を全て見透かすように深い色をたたえる。

「はい……たとえ彼が、100年このまま目覚めなくても」

自然と柔らかな笑みを浮かべている自分に気付いた。

嘘のない笑み。

カルロが持っていた愛する人の幸せだけを望む誰よりも強き微笑み。

カルロ……あなたの微笑みがわたしを強くしてくれた。

エマは桃色の唇をほころばせ、立ち上がった。

「強くなりましたね、カレン。100年の想いは、いつかきっと叶う。シエルが先ほど目覚めました。行ってあげてください。わたしたちはもう、行きます」

「カレン、私の娘として生まれ変わってくれてありがとう。君に会えて私は幸せだ」

ウルフは太陽のような笑顔を見せ、エマの肩を抱きドアへと向かっていく。

「待って!」

振り向き、笑顔で答えるウルフ。

「心配ない。私はこう見えても、ヴァンパイアの王だ」

ウルフ………!!

ドアの外へと消えていった二人を呆然と見守ったわたしは、シエルが目覚めたと聞いたことを思い出し、彼の眠る部屋へと急いだ。

シエル……!!

シエルなら、二人を止めてくれるかもしれない!!