「ウルフ様…エマ様…お二人は100年ぶりにやっと、やっと会えたのに…!」

カルロがふらりと一歩踏み出した。

「カルロ…?」

立ち上る炎に向かって突き進んで行く。

カルロ……まさか!!

「待て、カルロ。少しなら風を起こし炎を割り、道を作ることができる」

ルドルフはおもむろにそう言うと、立ち上る炎に向かって両手を振り上げた。

ゴォオという轟音とともに竜巻が沸き起こる。

細い一すじの、一人がやっと通れるような道がウルフたちへとつながる。

「カルロ、私が風を起こしている間に、ウルフ様たちを!急げ!」

「ルドルフ、ありがとう!」

カルロが勢いをつけて炎の中の道へと走っていく。

「わたしも!」

「お待ちください!」

走り出そうとしたわたしをルドルフの片腕が遮った。

「この道はいつまで持つかわからない。カルロと私にお任せください」

炎とすれすれで走っていくカルロをルドルフの腕の隙間から見送る。

カルロ……!

炎はカルロの背よりも高く燃え上がっていた。

カルロはその中を必死で駆け抜け、ウルフが倒れている場所へとたどり着いた。

「ウルフ様…」

カルロがそう言っているのが聞こえる。

カルロはウルフを一瞥してからすぐにエマを十字架から外し始めた。

「カルロ…ありがとう」

下に降ろされたエマがカルロに礼を言いウルフを抱き起こした。

「ウルフ!……ウルフ!!」

エマの悲痛な叫び声が聞こえ、胸が痛くなる。

「さ、シエルは私が連れて行きます。エマ様はウルフ様を!」

カルロがシエルを抱き起こそうとしたその時だった。