「ブルース!!早くデュオを連れて城を出て!サラもお願い!!」

「しかし、あなたを置いては…!!」

困ったように声を引きつらせるブルースを見つめ、微笑んだ。

「……行きなさい、ブルース」

ルドルフとカルロ、そしてブルースが息を詰めてわたしを見つめる。

「エマ様のマリアの微笑み……カレン様、あなたは…」

「大丈夫よ、ブルース。わたしはヴァンパイアになったのだから。あそこにいるのは、わたしの母と父、そして弟なの。ここに置いてはいけない」

ブルースが眩しいものを見るように目を細めた。

「バイオレットの瞳……。カレン様は完全なヴァンパイアになることができたのですね。…わかりました。デュオ様は僕がお護りします……必ず!」

そう言うとブルースは、カルロとルドルフにわたしを頼むと言うように目配せし、デュオを抱きかかえた。

「理事長も、はやく行ってください。サラをお願いします」

「…わかりました。花恋さんも必ず戻ってきてください。……サラと待っていますよ」

理事長はとても優しい声音で髪を撫で付けるしぐさをすると微笑んだ。

3人がドアの外へと消えていったのを見送ったわたしは、すぐそこまで迫っている炎を振り返った。

どうしよう……!!

これ以上、みんなに近づけない……!!