わたしはサラが迎えに寄越したベンツで、彼女と一緒にサラの父親が経営するという病院へ向かっていた。

「それにしても朝から思いっきり心臓が飛び跳ねたわよ。まさかあの瞬間にドア開けてくれるなんて」

ついさっきのサラの目を丸くして喜んだ光景が思い出されて、気恥ずかしいような褒められて嬉しいような複雑な気分になる。

寝るときは必ずブラをはずすわたしは、パジャマの下はいつものごとくノーブラで、もうまるっきり見事に胸を突き出しちゃったんだから。

「だってカレンてば鍵閉めてないんだもん。いくら女子寮だといっても無用心よ!」

サラは自分の悪事を棚に上げて天使のようにウィンクをした。

いつもは鍵閉めて寝るのに、昨夜はあまりにいろんなことがあって動揺していたわたしは部屋に帰ると鍵をかけるのも忘れて突っ伏して寝ちゃったんだっけ…。

「それで?昨夜はいったいどこの殿方とキスしていたわけ?」

サラはわたしの顔を凝視すると、人差し指でわたしの唇にポンと触れた。

「……キ、キスっていうか、あれは~その………」

「なぁにぃ~?日本人は歯切れが悪いんだから、もっとシャキっと答える!」

眉をしかめて怒ったサラの顔があまりに迫力で、思わずシャキっと背筋が伸びる。