「それでも、わたしはヴァンパイアになりたい」

きっぱりと言い放ったわたしに、デュオがわたしの耳元で息を詰めるのがわかった。

「…なぜ?ウルフを助けたいから?」

わたしは流れる涙を頬に感じながら微笑む。

「孤独を…きっと愛することができるから」

デュオの抱く腕がすっと緩む。

「孤独を?」

「うん、孤独を。愛と孤独は表裏一体だわ。100年でも200年でも、あなたを愛する自信があるから、わたしは孤独を愛せる。例えばエマたちのように100年あなたに会えなくて泣きたいほどの孤独を感じても、わたしは大丈夫。孤独感が絶対に消えないのと同じように、わたしのあなたへの愛も絶対に消えない。わたしの孤独感はあなたへの愛の裏返しだもの」

デュオが後ろでふっと微笑むのを感じた。

「その言葉、そっくりそのまま返すよ。100年たっても200年たっても、私はお前に執着する。私の愛は、孤独の闇以上に深いからだ」

その言葉を聞いたわたしはいつかの『私の愛は少し重いが、覚悟はあるか?』というデュオの言葉を思い出し、クスリと笑ってしまった。

「カレン?」

「深くて、重いんだよね、デュオの愛は」

からかうように言ったわたしをデュオは無理やり自分の方へ振り向かせると、

「…重たい鎖でお前を縛ってしまいたいよ」

デュオは物憂げに瞳を細め、唇を色っぽく開くとわたしの首に口づけをした。

ゆっくりと吸うようにわたしの首にキスの刻印を刻む。

溶ろけそうに甘美なヴァンパイアキスの吐息の中で。

わたしは彼に、縛られることを願った。

どんなに孤独の闇が深くても。

どんなに長い時がわたしたちを引き裂いても。