光り輝くバイオレットの粒子が舞い落ちる。

デュオが眩しげに見下ろすその下で、シエルは哀しげに微笑んでいた。

その表情はずいぶん大人びて、20代半ばほどに見えた。

10センチは伸びただろう背で、黒マントが先ほどよりかなり小さく見えた。

天使のようにくるくるとした金髪と、時折バイオレットに輝く青の瞳だけはそのままに、シエルはとても美しい青年に成長していた。

「デュオ兄さん、これが僕の完全な姿だ。あとはカレンからエクスタシーをもらえば、どんな刻印の力にも負けない月の力を手に入れることができる」

デュオは再びシエルの首に剣を当てながら答える。

「わかっているだろう?そんなことはさせない」

シエルはその瞳をバイオレットに輝かせ、泣いているように微笑みながらつぶやいた。

「……僕は、デュオ兄さんよりずっと前から、カレンを愛している。母さんのお腹に100年生きながらいろんなものを見てきた。母さんの思念が僕に伝えるんだ。今日、カレンが生まれた。カレンが歩き出した。カレンが恋をした」

「…シエル…」

デュオの剣を持つ手が微かに緩んだ。

「…僕は、生まれる前からカレンに恋していた。僕はカレンを護るために生まれたんだ。カレンがデュオ兄さんに恋をした瞬間、僕は母さんのお腹の中で悲しんだ。僕が先に出会いたかったと……。デュオ兄さん、カレンを渡したくないなら、今ここで、僕を殺すべきだ」

……シエル……!!

大人びた表情から、シエルの想いが伝わってきた。

いつも微笑みを絶やさずに、どういう想いでシエルがわたしを見てきたか、今やっと、わかった。

シエルはわたしをただパワーを高め合うための相手として見ていたわけではなかったんだ。

わたしは瞳に涙をいっぱい溜めながら、見つめあうデュオとシエルを見た。

組みしあう二人を見るのは、とてもつらかった。