ベッドの上で、わたしとシエルとデュオが向き合っていた。

ユーゴはまだ腕を月光のくさびに捕らわれたままうなり声をあげ立ち尽くしていた。

「シエル!!」

デュオは激しくシエルの名を呼ぶと、剣をシエルの首に突きつけ、そのままシエルの体をベッドの上に倒して乗り上げた。

「デュオ!!」

わたしが叫んでも聞こえていないかのように、デュオの瞳は激しく燃えたぎっていた。

デュオはその唇から白く光る牙を突き出しながら叫んだ。

「カレンは私の女だ!!これほどに愛しい女はこの世界において他にない!!彼女に触れるなら、その命、私に預けたと思え!!」

……デュオ……!!!

デュオの表情は本能を露にしたヴァンパイアそのものだった。

「…そんなに愛してても抱けない……。つらいね、デュオ兄さん」

シエルの瞳から涙が零れたように……見えた。

それはなんだか、月の雫のようで、わたしの心はなぜか締め付けられていた。

「…シエル?」

その瞬間、バイオレットの眩しいほどの光がシエルの体を包んだ。

デュオはその眩しさに手の甲で顔を覆い顔を背けた。

……まさか、シエル……!!

バイオレットの光の中で、シエルが成長していく―――!!!


パァ―――――ン!!

というはじけた音とともに、バイオレットの光が散り散りに砕かれた。



「―――――シエル!!!」