「彼らの強力な血があれば、どんな不治の病でも治療することができる治療薬を開発することが可能かもしれないのだ。デュオはそのための血を我々に提供してくれると言ってくれている。ずっとヴァンパイアを匿っていてくれた我々への恩返しでもあると……」

かずちゃんはそこで立ち上がると声を荒げて叫んだ。

「嘘だ!ヴァンパイアがそんな人間のために何かをするなんて……。僕には信じられない!何か見返りが欲しいんじゃないのか?……デュオ!!」

デュオは座ったままかずちゃんを見ることもなくふっと微笑む。

「ああ、もちろん見返りはいただくよ。和希くん」

かずちゃんは微動だにしないデュオにさらに腹を立てた様子でバンとテーブルを叩いた。

「父さん!ヴァンパイアを信じるなんて危険です!」

「和希。危険は承知だよ。どんなことでも新しい何かを成し遂げる時は、危険が伴うものだ。とにかく座りなさい」

かずちゃんはふっと息をつくと席に座った。

「デュオ、望みを言いたまえ」

神藤社長が促すと、デュオは真剣な表情で社長を振り返った。

「ヴァンパイアの血をさらに強固なものに。ヴァンパイアの唯一の弱点である心臓を突かれても息絶えることのないほどのものに、ね」

「信じられない。永遠の命をもっているのに、まだ足りないか!?弱点がなくなればまた人間を襲う気じゃないのか?デュオ!!」

かずちゃんが呆れたように言う。

「かずちゃん、デュオはそんなこと……!」

「ヴァンパイアの巣窟である『ガイア』を100年ぶりに復活させたい。そうすれば人間たちの世界には入り込まない。……約束しよう」