「父さん、話とはなんですか?」

かずちゃんもナイフを置いて神藤社長を見た。

デュオは表情を変えず伏目がちに目を細めた。

「君達にもそろそろ我が『ガイア』の進むべき道を伝えておこうと思ってね」

『ガイア』の進むべき道……?

わたしは神藤社長が何を言わんとしているのか予想できなくてただじっと見つめるだけだった。

「『ガイア』の目的はただ一つ。それは不治の病と言われている様々な病気の治療薬を開発することだ。……例えば、HIVや末期のガンなどの、ね」

「…父さん、それは確かに実現するなら素晴らしいことですが、そんな簡単なことではないでしょう?」

かずちゃんが半信半疑な様子で父親の顔色を窺うように話す。

神藤社長はふっと笑うと、デュオに視線を送った。

「それが、可能かもしれんのだ、和希。……この、デュオがいれば、な」

かずちゃんとわたしはぽかんとした顔でデュオを見つめた。

デュオはまだ表情を変えない。

目の前にある赤ワインを優雅な手つきで飲みほすと、

「ヴァンパイアの血を『ガイア』に提供しよう」

そう言って不敵に微笑んだ。

ヴァンパイアの血を……!?

「ヴァンパイアの血は万能だ。その濃度、そのめまぐるしいほどの新陳代謝、回復力。恐るべき力を持ったこの世で最高の血だ。その証拠にヴァンパイアは病にかかることはない。そして一番特筆すべきなのは……その命が『永遠』だということだ」

神藤社長は満足げに微笑むと赤ワインを一気に飲み干した。