デュオは少し間を置くと、わたしから瞳を離し前に向き直って言った。

「10日前のパーティーでお前はエマを感じると言った。それからお前のことを調べて行き着いたのは、ウルフとエマの娘のエヴァだ。エヴァはその頃イギリスに来ていた実業家の日本人の男と結婚し日本へと渡った。ヴァンパイアの血を封印されながらも潜在的にヴァンパイアである自分を感じていたエヴァは、その頃散り散りになっていたヴァンパイアの生き残りを日本へと連れていき匿っていた」

「エヴァが日本でヴァンパイアを匿っていたなんて……」

驚きでわたしは気分が少し悪いことなんて忘れてデュオの話に聞き入っていた。

「つまり、そのエヴァの子孫がお前で、その夫の日本人が経営していた企業を形を変え受け継いでいったのが、今の神藤の会社というわけだ」

「え!かずちゃんの会社が!?」

「神藤の会社はヴァンパイアに友好的だ。なぜなら今でもエヴァが連れてきたヴァンパイアを匿っているからね。会社の中で秘密裏に進行しているヴァンパイアに関する計画があり、私もそのプロジェクトに参加するべくルシアとともに養子となった。ヴァンパイアにとって今一番の拠り所となっているのは神藤の『ガイア』かもしれないな」

その言葉を聞いてわたしはサラのことを思い出していた。

「もしかして、『ガイア』を足掛かりに、サラのパパの会社のキングストンと闘う気?」

「……そうなるだろうね」

デュオはそう言いながら物憂げな瞳でわたしの首筋を見つめると、わたしのドレスの首筋をその片手でめくった。

「デュ、デュオ……!?」

「もうすぐ、刻印がなくなる時間だな」

彼はそう言うと、その甘美な唇を少し開いて、長いまつ毛を伏せ、わたしの首筋にその唇を近づけた。

「!?」

わたしはあまりのドキドキに両の瞳を固く閉じ、体を石のように固まらせた。