カルロが中へ入るのに続くようにわたしも小さな扉をくぐり抜けるように中へと入った。

そこは5、6人は暮らせるような広さの牢で、牢の一番奥には真っ赤なバラの花が活けられていて、壁も綺麗に塗られたばかりのような跡がありとても清潔に見えた。

そしてその牢の真ん中に、とても豪華な雰囲気の漆黒の大きな棺おけが開けられる時をいまかいまかと待っているかのようにその姿を誇示していた。

「カルロ……ここにエマが……?」

「はい。この中にエマ様が眠っておられます」

わたしは胸が打ち震えるのを感じながら、ゆっくりと踏みしめるようにその棺おけへと近づいた。

その棺おけには大きな金色の十字架の装飾が施されていて、とても神聖な重みを感じた。

わたしはなぜか、5歳の時に亡くなったママが棺に入れられた姿を思い出し、足をガクガクと震わせるといつの間にかその場にぺたんと座り込んでいた。

「……ママ」

カルロはその様子を何も言わずにじっと見つめていた。

「変ね、わたし。わたしの亡くなったママじゃないってわかっているのに、なぜかママがそこにいるような気がしたの…」

カルロはわたしの顔を覗き込み慰めるように微笑むと、

「カレンがそう感じるなら、きっとそうなのでしょう。あなたのママもエマ様のご子孫で在らせられるのですから、亡くなったその魂はエマ様の中へと還られているはずです」

「……ママの魂が……!?」

カルロはきゅっと唇をまっすぐに結ぶと、その棺おけに両手をかけ一気に開け放った。