ヴァンパイア†KISS

煌く太陽のような光とともに、「ヴァンパイア・キス」はその姿を現した。

100名はいるだろうダンスカップルたちが、ざわめきながらウルフガングを振り返る。

その中央で、たった今、アルゼンチンタンゴを踊り終えた様子のユーゴがパートナーの女にくちづけをすると、ウルフガングに向き直った。

「ウルフ、来ると思っていたよ」

「……娘を返してもらおう」

「人間とヴァンパイアの混血児。面白いな、ウルフ。決して相容れることのなかった人間とヴァンパイアの血。それが初めて混ざり合ったこの奇跡。私はお前を尊敬するよ……ウルフ!」

「私がエマを愛した。……それだけのことだ」

ユーゴはクっと引きつった笑みを浮かべると、「カーラ!」と後ろに向かって叫んだ。

ヴァンパイアのダンスカップルたちを掻き分けて、カーラはユーゴの前にやってきた。

その腕にウルフガングの娘を抱えて……。

娘は愛くるしい金色の髪をくるくるさせ、無垢な表情ですやすやと眠りに落ちていた。

ユーゴはその赤ん坊に一瞥をくれると、

「返せと言われても、この娘はなにせ奇跡の存在でね。私にとっては脅威でもあるのだ。このような不吉な存在を私は野放しにはできないんだよ、ウルフ」

そう言って殺意とも見える鋭い眼光でウルフガングを見た。

ウルフガングは目を細めて苦笑する。

そして、隣のエマを振り返り太陽のような笑みでエマに笑いかけると、

「その子が不吉かどうか、私たちを見てもらえばわかることだ」

そう言ってエマの手を引き「ヴァンパイア・キス」の最も輝く場所、その中央へと歩を進める。