ヴァンパイア†KISS

エマは白のドレスのスカートをふわりと舞わせて立ち上がると、マリアのように汚れのない瞳で微笑んだ。

「わかりました。わたしとウルフの二人きりにしてくださいますか?」

デュオはその瞳に最も美しい愛を見たような錯覚を起こしていた。

まるでそこにマリアがいるように……。

「…いいだろう」

デュオはそう言うと、カルロとヴァンパイアたちを促し牢の外へと出た。

「エマ様……」

カルロは心配げに牢を振り返った。

「カルロ、私は今、二人の魔法の鍵を解いたような気がしたよ。ウルフがなぜあれほどまでにエマを愛するのか、その鍵を、ね…」



「ウルフ……」

エマは棺おけに横たわるウルフガングの首に十字架を返すと、美しい金糸の髪をウルフガングに近づけていく。

(ずっとくちづけたかったこの唇。ウルフ……これであなたが甦るなら、なんという幸福でしょう…!)


「ウルフ、愛しています」



――――そうして、マリアの微笑みを持つその女性は、



この世で最も麗しい唇を彼へと捧げた………。





ピチャン………。

(これは……水の音……?)

ウルフガングは水の滴る音に目を覚ました。

(……長い夢を見ていた気がする。エマ…君にキスされた夢を…)

「…愛しています…か。エマの声を聴いた気がしたが……私も弱ったかな」

棺おけから起き上がったウルフガングは人の気配を感じ、後ろを振り返った。