ヴァンパイア†KISS

暗闇の中に、バイオレットの瞳が妖しく浮かび上がる。

それはエマの頭の後ろからカルロたちに一瞥をくれると、ゆっくりとエマの白い肌に向き直った。

「人間など血を吸わなくてもたやすく殺せるわ。このまま絞め殺してやろうか……」

その高貴で残忍な匂いにカルロとブルースは気圧されていた。

バイオレットの瞳は一部の高貴な血を持つヴァンパイアしか持つことができないもの。

その能力に対抗できるのは、同じく高位なヴァンパイアだけだった。

そのヴァンパイアが、なぜここに……!?

「やめてください!僕はデュオ様の命でその女を逃がすよう申し付かっているのです!」

ピクリとその影が動く。

「デュオ?私はその父であるユーゴからこの女を殺すよう申し付かっているのだが…?ブルース」

「……あ、ああ……オズワルド様!!」

ブルースはその人物の正体に気付き絶句した。

「オズワルド?」

カルロが訝しげにブルースを見つめる。

ヴァンパイア・オズワルド。

高貴な生まれに残忍さを併せ持つ彼は、ユーゴにさえも一目を置かれる存在だった。

まだ生まれて十数年しかたっていない彼は、ユーゴの力にはまだ及ばないもののその潜在能力は誰しもが感じ取っていた。

肉親以外で唯一ユーゴを呼び捨てで呼ぶことを許されているヴァンパイア。

(あ……ああ…オズワルドが来るなんて!ユーゴ様にも筒抜けということか……。デュオ様にまた叱られる……!)



その時、バイオレットの一陣の風がオズワルドの顔面に直撃し、彼はエマから手を離すと後ろへ吹き飛んだ。