ヴァンパイア†KISS

「デュオ様、大変です!!エマが妊娠を――!!」

酒場に飛び込んできたブルースにデュオが冷たい視線を送る。

「あ……も、申し訳ありません。声が大きかったですね…」

「妊娠…か。ヴァンパイアと人間の混血。そんな例は今までにないな。キングストンの様子はどうだ?」

「はい!エマを人間だとは認知したようですが、どうやら妊娠した子供に興味を持っているようで。その人間離れした成長スピードこそヴァンパイアだと…」

バタン!

と入り口で音がしてデュオが振り返ると、腰まである長い銀髪がドアをすり抜けていくのが見えた。

「……ウルフ!!」

デュオは立ち上がりそれを追いかけようとしたが、ふと思いとどまり足を止めた。

「ヴァンパイアの耳は数十メートル先の小声まで聞き取ることができる。ウルフめ、全て聞いたと見えていても立ってもいられずエマを助けに行ったか……。止めても無駄だろう。だが、あの体では無茶だ。ブルース、まだウルフを支持するヴァンパイアが数名はいるはずだ。今すぐにかき集めろ!……父には見つかるなよ…!」

「はっ!」

デュオは黒のマントを羽織ると、まだ寒風吹きすさぶロンドンの街にその美しい銀髪を揺らしながら真剣な眼差しで雪降る空を見上げた。

(ウルフ……。なぜ、愛に命を懸ける……?短命で儚く散ってしまう人間に、なぜそこまで愛を注ぐのだ……。永遠こそ、最も尊ぶべきもの。……そうだろう?ウルフ……)