自分にしてはかなり大胆に開いた胸もとを気にしながらも、ゆっくりとホールの中央へと歩み行く。

もう既にダンスしているカップルがかなりいたので、時折ぶつかりそうになりながら。

こういうパーティは小さい頃何度かパパに連れられて経験はあるけれど、中学に入ったころには堅苦しい場や注目を浴びる場に拒絶反応を感じ、いつもドタキャンする親不孝な娘だった。

だから安定しないハイヒールにも慣れていない。

足首にリボンがあしらわれた赤いハイヒールが不安定に揺れる。

………あ、れ?

人に酔ったのかな?

目の前がぼやけて、視界が定まらない。

人いきれが、息苦しい。

ふわふわと揺れる感覚。

人が、人の群れが………怖い!

「サ……ラ」

わたしは後ろに付いてきてくれているはずのサラを振り返った。

サラはそこにいなかった。

ゆっくりとホールを見回すと、少し離れたところで知らない男性と踊っているサラが見えた。

見回して、さらに目が回ったのか、視界のもやがさらに濃くなる。

「やば……気持ちわる…」