「へぇ~」と感心しながらわたしはサラの綺麗な横顔をぽけっと見つめる。

我ながらこんなにしっかりした友人をもってつくづくラッキーだったと自分で自分を褒めだしたその時だった。

「着いたわよ」

ドアを開けてもらいベンツから降りたその先には。

ヴェルサイユの宮殿さながらに、ただっ広くて豪奢な別荘。

庭というより庭園と呼ぶにふさわしいガーデンの真ん中には大きな噴水。

薄っすらと雪の積もる2月で残念な限りだが、春にはきっと色とりどりの花が咲き乱れることだろうと想像し、ため息をつく。

「さ、仮面をつけていざ勝負!よ」



白の外壁が眩しい別荘の大きな表玄関に足を踏み入れると、すぐに黒や白のマスクをつけた給仕が何人も姿を現し、わたしたちを丁重に案内する。

パーティはたった今始まったばかりのようで、ちょっとしたロックバンドのコンサートも開けそうに広いホールには耳に心地よく流れるクラッシック音楽が流れていた。

「すっごい人……!!」

思わず声を出しながら驚きで目を大きく見開く。

「ざっと500人はいるでしょうねぇ。こんだけいりゃ、誰か好みの殿方はいるでしょう」

見渡す限り人の波で、ほとんどが金髪やブラウンの髪に思い思いの色のマスクやドレスにタキシードを着ている。

黒髪の自分は目立つかもしれないと、ブロンドのカツラをかぶってきたけど、そんな心配もなかったわね、とほっとしたような残念なようなどちらともつかないようなため息が思わず出ていた。

「でも探すのは至難の業だよ、サラ……」