わたしは寮長に外泊許可をもらうと、そのまま小さなボストンバックを持って寮を飛び出した。

パパには内緒だった。

旅行するなんて言ったら逃げ出すのかなんて思われかねないし。

わたしにもまだ、わからないけど。

なんだか今は絶対に行かなければいけないような気がしていた。

幸い今は天気もよく、荒れる様子はなかった。

ロンドンの天気は、1日で四季が移り変わるって言われるくらいいつどうなるかわからないんだけどね。

寮の近くからバスを乗り継いで、長距離電車に乗り換え、やっと落ち着いた。

ほんのちょっとの距離だけど、一人旅なんて久々だな、なんてちょっぴりウキウキするような気分もあった。

でもきっとわたしにとってはとても大切な旅になる。




………そんな予感を胸に秘めながら……。



ママ。

わたしはどうして生まれてきたの……?

なぜ、20歳で結婚することが、ママの遺言なの…?

ママは、わたしがヴァンパイアの血を半分もっているって、知っていた?



ママ………聞きたいことが、たくさん………ある…の。