普段はみすぼらしい格好をして畑仕事をしている男や女どもが、立派なスーツやらドレスを着て愉快な音楽に合わせて踊っている。五、六歳ほどのガキまで着飾っているものだから驚いた。

「旅人さんもどうかしら?」

ピンクのドレスを着て太った五十代ほどの女が、僕に向かって手を伸ばす。この女は太り過ぎだ。血を飲んでも、血液が油でギトギトでおいしくない。

「いえ、僕は見ているだけで結構です」

僕は、紳士的に微笑みながら言う。女は残念そうな目を向けながら、次に踊る相手を見つけて輪に入っていった。

「よう、旅人の兄ちゃん!こっち来て一緒に飲もうや!」

すでに酔っ払って顔を赤くした若者に僕は囲まれた。みんな、筋肉質だが血はうまそうだ。今度のエサの候補にしよう。

「そうですね。せっかくですし…」

僕はまた微笑みながら言う。長く生きているので、酔っ払いの頼みを断ると鬱陶しいことになると知っているのだ。

僕はそのまま若者たちに連れられ、ベンチに座らされる。そして、酒の入ったグラスを渡された。