「さあ、始めよう」

僕はそう呟くと、近くにいた子どもを捕まえる。そして、その細い首に自身の牙を思い切り突き刺した。すると首から赤い鮮血が垂れ、子どもは僕から逃れようと暴れる。しかし、誰も助けることなく子どもは息絶えた。

僕は手当たり次第に人を襲っていく。暴れる体を押さえつけ、マズイ血もうまい血も関係なく口にする。

耳に入ってくる悲鳴が誰のものなのかわからない。ただ、目の前で逃げ惑う食料を、押さえつけて血を奪っていく。

気がつけば、パーティー会場は死体であふれていた。多くの人間の血の匂いが空気中に混ざっている。

残ったのは、たった一人の男。真っ青な顔で座り込んでいる。その目は、生きることを諦めているようだった。

「ダメッ!!」

僕がケイに近づくと、縛り付けたエミリーが叫ぶ。

「お願い!彼を殺さないで!彼は…私の大切な人なの!!殺すのなら、私を殺して!!」

ギシギシ、とエミリーが抵抗する音が響く。僕はそっと人差し指を口に当て、エミリーにまた拘束の魔術をかけた。