物書き、というのは大噓だ。吸血鬼にお金なんてものはいらない。稼ぐ必要がない。ただ生きるために、人間の血を必要とするだけだ。

エミリーには、いずれ真実を話さなければならない。だからこそ、しっかりと絆を深めておかなければならない。エミリー自体が、僕にとって何よりも美しい贈り物だ。

「物書きのお仕事をされているのは、ケイさんと一緒ですね」

エミリーの目が細くなる。

「ケイ?誰ですか?」

エミリーの頰が赤く染まる。僕から目をそらし、恥ずかしそうに顔に手を当てる。この態度は普通ではない。

「……私の婚約者です」

その小さな声は、僕の耳にはっきりと届いた。