それから数日経ったある日。
 しずくは早めに仕事を切り上げて、街で仕事で使うものの買い出しをしていた。
 早番が終わり、残業をこなしてからの買い出しとあって、自分でもボロボロだなと思ってしまうぐらいに疲れていた。


 「よし………後は、文房具とかを買おうかな…………。ペンのインクもなくなってたし、子ども達への手紙の便箋もなくなってたかな。」


 ブツブツと小さな声でブツブツと考え事をしながら、買い物を進める。次の店で最後だと思い、急ぎ足で寒い街を沢山の荷物を持って歩いていた。

 そして、その店に着いた時だった。


 「あっ………!!」
 「………ん、あなたは確か、白くんの後輩の。」


 そこに居たのは、ピンク色の髪をした小柄の可愛らしい女性だった。白が卒業した大学の後輩で、この間の文化祭で何回か話をした人だった。そして、彼女は白に憧れているのも、しずくは気づいていた。



 「心花です。白先輩の彼女さん、ですよね。」
 「はい。文化祭の時は、ありがとう。」
 「いえ…………。」


 心花は少し気まずそうにしながらも、すぐに去ろうとはせずにしずくを見ていた。何か気になることがある様子に見えた。


 「………あの、白先輩は大丈夫ですか?………スランプで、絵が描けないって言ってましたけど、あれからどうなんですか?」
 「え………スランプ?」