12話「悲しさと虚しさの涙」




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 しずくは、スマホを見ては溜め息をつく日々が続いていた。
 白からの連絡を待っているが、相変わらず彼からの連絡はなかった。
 忙しい中でも、彼の連絡を待たない日はなかった。

 彼の声も、言葉もない日は、付き合い始めてからここまでなかった。
 数日、彼との関わりがなくなっただけで、自分がここまで落ち込むとは思っていなかった。


 自分が彼を支えて、見守ろう。
 そう思っていたのに、自分が落ち込んではダメだ。わかっているはずなのに、しずくは自分がどんなに彼に甘えていたのかがよくわかった。



 「白くん…………。私は、『頑張って。』しか言えないのかな。」



 そんな時だった。
 しずくのスマホのバイブが鳴った。
 画面には、白の名前が表示される。しずくは、胸がドキッとした。嬉しさと、そして妙な緊張感を感じながら、しずくはすぐに通話ボタンを押した。



 「もしもし?」
 『あ………しずくさん。こんばんは、遅くにすみません。』
 「ううん。大丈夫だよ。白くんの声聞けてよかった。」
 『…………ごめんなさい。連絡出来なくて。』


 電話口から聞こえる白の声は、とても弱々しいものだった。
 しずくは、胸を締め付けられる思いだった。