「しずくがそう感じたって事は、白くんにも何か思いがあるのかもしれないわね。」
 「やっぱりそうだよね………。」
 「で、同じ男として、光哉くんはどう思うの?」
 「…………どうして、ここで俺に話を振るんだ……。」



 美冬の隣でぐったりとした様子で座っていたのは、しずくの同級生であり、美冬の仕事仲間でもある光哉だった。
 突然話しを掛けられて、光哉は大きくため息をついた。


 「だって、ここには光哉くんしか男性はいないし。それにさっきから、何も話してこないじゃない。」
 「…………当たり前じゃないですか。俺の初恋の相手で、しかも、最近フラれた相手の彼氏とのイチャイチャ話なんて聞きたくない。」
 


 光哉は、「帰りたい。」と呟きながら、また大きくため息をついた。
 しずくが白と付き合い始める前。久しぶりの再会をし、その後光哉からしずくに告白をしたのだ。けれど、結果はしずくは白を選び、光哉はフラれてしまったのだ。
 その後、少し引きずっていたもののやっとしずくを忘れられると思っていた矢先に、美冬に誘われて呑みに来たところ、そこにはしずくが居たという訳だ。


 「………光哉くん、ごめんね。やっぱり、迷惑だよね……。」
 「え、や……そんな事ないよっ!雨ちゃんと普通に話したいって思ってたし。」
 「だったら、いいじゃん!で、光哉くん的にはどう思う?」
 「美冬に言われるのは、何かイヤなんだよな………。」
 「なんでよ!」


 しずくは、美冬と光哉の2人は仲がいいなと思っているけれど、2人にそれを言うと「そんな事はない!」と、断言されてしまうから不思議だ。美男美女でお似合いなのに、と思いながら、やり取りを見つめていた。