「これ………白くんが描いているの?」
 「はい。趣味のページで、仕事以外の絵はここに保管してるんです。キノシタイチ先生の影響で、昔から妖精の絵が好きだったので、このアプリにも沢山載せていたんですけど。このサイトを見て、フェアリーワールドストーリーズのスタッフさんが連絡くれたんです。」
 「………これを見たら納得だよ。どれも素敵だもの………。絵本と違って本物みたいでそして、神秘的な絵が多いね。それに私の好きなキャラクターも沢山居る。すごい!知らなかった………。」
 「しずくさんが好きなアニメは見ていたので……それで気になったキャラを描いてみたくなって。実は描いてみたくなって。」
 「教えてくれればよかったのに。」



 しずくはスマホの美麗な作品に釘付けになって見ていた。
 SNSで、自分の絵をアップする人は多い。その中でも素人とは思えない作品も多い。そんな絵を見るのをしずくは好きだった。そんな見てきた絵よりも確実に惹き付けられるものばかりで、さすがプロだなと思われる作品ばかりだった。よく見ればフォロワーもすごく多いのに気づいた。
 今まで気づかなかった事を悔やみながら、しずくは一つ一つの絵を見ながら感嘆の声をあげていた。


 「しずくさんもぜひフォローしてください。よかったら好きな作品の原画はプレゼントしますから。」
 「本当っ!?嬉しい!」
 「………僕もです。」
 「え………?今何か言った?」


 ボソッとした声が聞こえたような気がして、しずくは白に問いかけるが、何事もなかったように彼は首を横に振った。

 おだやかな1日の始まり。
 その日は2人でお祝いするように、白の絵をみながら妖精の完成を夢見て語り合ったのだった。