8話「フェアリーワールドストーリーズ」





 ☆☆☆



 誰かの吐息を感じた。
 しずくは、まだ半分夢の中にいる意識でそれを感じながら、ゆっくりと目を開いた。

 すると、薄手のカーテンから太陽の光が注ぎ、目を閉じて眠る白の顔がはっきりと見えた。
 すやすやと眠る彼の寝顔は幼くて、改めて年の差を感じてしまう。けれど、そんな年下の彼は、昨晩とても激しくしずくを求めて、大人の色気を出してしずくを魅了していたのだ。
 そんな愛しい恋人と、昨晩初めて体を重ねたのだ。
 そんな風に思うと、妙に気恥ずかしくなってしまい、しずくはそのまま布団に潜った。
 そして、ハッと気づいた。
 自分も、そして彼も素肌を出したまま寝てしまっていたのだ。

 白が起きてしまい、明るいところで見られてしまうのは恥ずかしい。そう思ったしずくは、ベッドのどこかにあるはずのガウンをキョロキョロと探してた。


 「朝から何を可愛い事してるんですか?」
 「…………え………。」


 声が聞こえた方を見ると、布団を捲ってニコニコとしずくを見ている白と目が合った。
 しずくは、恥ずかしそうにしながら白を見ながら布団から顔を出した。


 「………ごめんなさい、起こしてしまって。」
 「いえ。何をしていたんですか?」
 「えっと……ガウンを着ようかと思って………。」
 「なるほど………。」


 しずくの返答を聞いて、白は何か納得した顔を見せた後、ニッコリと笑って優しくしずくを抱きしめた。


 「えっ………白くん?」
 「おはようございます、しずくさん。」
 「うん、おはよう………。どうしたの?抱きついたりして……。」
 「恥ずかしがってるしずくさんが可愛くて。」
 「そ、そんな事………。」