7話「冬の夜は温かく」




 白に「一緒にお風呂に入りますか?」と聞いてきたが、しずくはそれを断ってしまった。

 白との初めての事ばかりで軽くパニックになっているのに、お風呂はさすがにハードルが高かったのだ。
 順番にシャワーを浴びる事になり、始めはしずくがシャワーを浴び、今は白が入ってた。慣れない白いガウンに気恥ずかしさを感じながら、しずくは白を直視出来ないまま見送った。

 しずくは、気を紛れさせるために買ってきたグッツやパンフレットを眺めていたけれど全く集中出来なかった。そして、白が予約した部屋は広かった。ベットがある寝室以外にも、1つ部屋があった。リビングのような部屋でそこには大きな窓があり、そこからは微かな明かりと夜の海が見えた。夜の海は怖いイメージがあったが、月の光や街の光でキラキラ光っておりとても綺麗だった。
 しずくは、ゆっくりと窓辺に近づいて、その景色を見入ってしまった。


 「夜の海って怖いって思ってたけど……それだけじゃないんだな。」


 しずくは幼少期に見た夜の海を思い出しながら、そう呟いた。
 その頃見た海は真っ暗な波と昼間より大きく聞こえる波の音がとても恐怖に感じられたのだ。それ以来、夜の海=怖い、という感情が消えずにいたのだ。
 けれど、高いところから見る海はとても穏やかに見え、キラキラと眩しく光っていた。