そんな気持ちが白にも伝わったのだろうか。
 裏庭を見つめていた、しずくの表情を隣から覗き込むように、「どうしましたか?」と、白は訪ねてきた。
 しずくは隠すことでもないと思い、自分の今の気持ちを簡単に白に伝えた。


 「最近、忙しくてなかなか会えなかったでしょ?だから、お昼から暗くなる夜の今まで白くんと一緒に居られるのが嬉しいんだけど、何か不思議な気持ちになってたの。」
 「………しずくさん。」
 「あ、白くんが忙しいのを責めてるんじゃないよ?こうやって楽しいデートを考えてくれて嬉しかったし、一緒に過ごせて幸せだなって思ってたの。」


 話している内にしずくは恥ずかしくなってしまったが、今話した事は全て事実。彼にもわかっていて欲しいと思い、しずくはじっと白を見つめ彼の反応を待っていた。

 白は少し嬉しそうに微笑みながら、頭をかいた。そして、「ずるいです……。それは……。」と、小さな声で呟いていた。しずくには、何と言ったのかわからなかったけれど、白の様子を見れば嫌な思いをしていないというのはわかった。


 「しずくさん………あの。」
 「ん?どうしたの?」
 「………今日は夜まで一緒に居てくれますか?………いえ、明日まで。」
 「………え………。」
 「実はここの近くのホテルを予約してます。………今夜、しずくさんを貰ってもいいですか?」


 白は少し緊張した様子で、そして真剣な表情でしずくを見つめながらそう伝えた。
 しずくは、一気に体の熱が上昇していくのがわかった。
 
 気持ちは決まっているはずなのに、恥ずかしさからなかなか声は出てこない。
 一緒にいたい。白に抱きしめて貰いたい。
 自分を独占して欲しい。

 そう願っているはずなのに………。



 しずくは、「………はい。」と返事をするのが精一杯だった。