菫はそっとキッズルームを見つめた。そこには誰もいなくなり、絵本が数点置きっぱなしになっていた。


 「ここに来ると、みんなからパワーを貰うの。子どもとも、そしてその親御さんとも仲良くなれるし、あなたみたいな素敵なお嬢さんにも出会える………。この図書館は、とても大切な場所なの。」


 しずくは愛しいものを見るようなおだやかな菫の表情を見て、彼女がこの図書館を大切にし、そしてそこでの出会いを大事にしているのが伝わってきた。
 この図書館で白は菫さんと出会った。きっと、その出会いが今の白を作っているのだと、しずくは思った。


 「しずくさん、白ちゃんをよろしくお願いします。」
 「………はい。」


 菫の言葉に、しずくは真剣な表情で答えると、とても安堵し嬉しそうに微笑んでくれた。
 その優しい笑顔をしずくはずっと見ていたい、そんな風に思った。





 

 「菫さん、素敵な人だね。」
 「………しずくさんにも紹介できて良かったです。子どもの頃、僕は菫さんに沢山の事を教えて貰ったんです。絵本の事も、優しい気持ちも………。」
 「そうなんだ。………菫さんと出会えてよかったね。」
 「はい。」


 菫と別れた後、図書館はまた今度訪れることになり、すぐに白の車に乗り込んだ。
 白が車を運転しながら、2人で図書館での出来事を話していた。