プロローグ




 一人の夜は寒い。
 そんな風に感じてしまうのは、季節のせいなのか。それとも、彼と一緒に寝るのが温かくて安心してしまうと知ってしまったからなのか。
 しずくには、わからなかった。


 けれど、素肌で抱き締め合ったわけでもないのに、ベットで白と共に寝た日を思い出すと温かくて気持ちよかったなと思ってしまう。
 これがもし、素肌で白に抱き締められたら?
そう考えると、あの時以上に彼を感じのかと思うと、胸が高鳴るのだ。想像しただけでもしずくは頬を真っ赤にさせてしまう。


 「こんな事を考えてしまうなんて、私ってエッチなのかな……。」


 そんな恥ずかしい気持ちになりながらも、しずくは白の事を考えない夜はなかった。

 自分には勿体ないぐらいの優しく格好いい自慢の年下の彼氏。


 そして、明日は久しぶりの休日デートだ。
 そのせいなのか、いつも以上に白の事を考えてしまう。


 「早く白に会いたいな。」


 真っ暗な部屋で、しずくはそう呟きながらスターチスの石を握りしめた。
 彼から貰った大切なお花。

 手を開いてその花の石を見つめながら、しずくは微笑んだ。




 次に目を開けたら、それは白に会える日になっている。
 それを楽しみに目を瞑るのだった。