「何言ってるんだお前」
いきなり変なことを言われ、俺の声が大きくなった。

「動揺する泰介、珍しいな」
「そんなこと・・・」
「ないか?」
真っ直ぐに見つめられ、言葉に詰まった。

確かに、見合い相手である爽子と付き合いながら、6年も前に別れた夏輝と連絡を取り合うのは不誠実なのかもしれない。
でも、
「俺にとって2人はカテゴリーが違う」
「カテゴリー?なんだそれ」
「だから、爽子は彼女。夏輝は友達」
「ただの友達?」
今日の一颯は妙に食いついてくる。
「いや、特別な友人だ。友達と言うより同士かな」
「同士ねえ」
まだ何か言いたそうな顔をしている。

「一颯、お前らしくないぞ。言いたいことがあるならはっきり言え」
「そうか」
一颯は一旦ソファーから腰を上げて座り直した。

「夏輝に1ミリの恋愛感情もないと言いきれるか?」
えっ。
「ない」
と思う。

「夏輝はどうだ?」
だんだん、一颯の言いたいことが分かってきた。