「どうかしました?」
「イヤ」
気まずそうな顔をした泰介さん。

私、何かまずいことをいっただろうか?
怒らせるようなことを、

「本当に何でもないんだ。ただ」
「ただ?」
その先が聞きたくて、泰介さんの顔を見た。

泰介さんは、
はあぁー。
大きく息を吐き、グラスのお水を一口口にした。

「実は、ナツキとは知り合いなんだ。大学の同級生でね」
「お友達ですか?」
「ああ。今でこそ俺と一颯が共同経営者になっているけれど、会社を起こしたときは20人ほどのメンバーがいて、ナツキもその中の1人だった」
「へぇー、意外」
理系のイメージないけれど。
「仲間とは言っても、あいつは営業の専門。あの外見で冗舌に語れば、かなりの大企業も話を聞いてくれた」

・・・。
相打ちを打つのも忘れて、私は泰介さんを眺めていた。