「君」
相手も驚いている。
って事は、気づいたって事よね。
「どうして?」
「君こそ」
お互い言葉は多くない。
だって、名前も知らないんだから。
「仕事で?」
沈黙に耐えきれないかのように、男性が聞いてきた。
「いえ、待ち合わせで」
「そう」
「お仕事ですか?」
今度は私が聞いてみた。
「まあね」
やはり会話は続かない。
突然、目の前に現れた男性。
その醸し出す雰囲気は2年前とちっとも変わっていない。
幾らか、凜々しく精悍な表情になった気もするけれど、会ったのはたったの1度だけだからよくわからない。
「綺麗になったね」
「え?」
きっとこれはお世辞ね。
「覚えているんですか?」
「もちろん」
胸の奥が、キューッと締め付けられる感覚。
これは何だろう。
「照れますね」
フフフ。
自然と笑っていた。
「君の笑顔、初めて見た」
「・・・」
「幸せそうで・・・安心した」
「ええ」
とても幸せです。
「じゃあ」
男性が右手を差し出し、
「はい」
私も手を出そうとしたとき、
「あれ?一颯」
泰介さんの声が私たちの方に飛んできた。
相手も驚いている。
って事は、気づいたって事よね。
「どうして?」
「君こそ」
お互い言葉は多くない。
だって、名前も知らないんだから。
「仕事で?」
沈黙に耐えきれないかのように、男性が聞いてきた。
「いえ、待ち合わせで」
「そう」
「お仕事ですか?」
今度は私が聞いてみた。
「まあね」
やはり会話は続かない。
突然、目の前に現れた男性。
その醸し出す雰囲気は2年前とちっとも変わっていない。
幾らか、凜々しく精悍な表情になった気もするけれど、会ったのはたったの1度だけだからよくわからない。
「綺麗になったね」
「え?」
きっとこれはお世辞ね。
「覚えているんですか?」
「もちろん」
胸の奥が、キューッと締め付けられる感覚。
これは何だろう。
「照れますね」
フフフ。
自然と笑っていた。
「君の笑顔、初めて見た」
「・・・」
「幸せそうで・・・安心した」
「ええ」
とても幸せです。
「じゃあ」
男性が右手を差し出し、
「はい」
私も手を出そうとしたとき、
「あれ?一颯」
泰介さんの声が私たちの方に飛んできた。