「泰介くんは何か言っていたか?」
パパの真剣な顔。
「何かって、『僕は気にしません』って言ってもらったわ」
「そうか」
それ以上何も言わない。


「泰介さんって1人暮らしなんでしょ。1度食事に招待しなさいよ」
手際よく用意したパパのつまみを運びながら、ママがまた言ってる。
この会話は何度目だろう。

「だから、家に招待するときはちゃんと言うから。放っておいてよ」
本当に、過干渉なんだから。


「泰介くんも忙しいんだから、あんまりわがまま言うんじゃあないぞ」
「はーい」

パパはすっかり泰介さんが気に入っている。

「ねえパパ、何で私にお見合いなんてさせようと思ったの?」
ずっと聞いてみたかった。
22歳の私は、まだお見合いを勧められるには早い気がするけれど。

「爽子はどうしてお見合いしようと思ったんだ?」
逆にパパが聞いてきた。

うーん。どうしてだろう。