とは言え、忙しさに変わりはない。
俺の疲れもかなり溜まっていた。
こんな時は何かが起きる。
予想できそうなものだったが、俺はそこまで気が回らなかった。


その日。
午後から取引先との約束があり、急いでいた。

最近、「出かけるなら社用車を使って運転は運転手に任せてください」と、秘書から言われていた。
でも俺は、自由に動けるのが良くて自分の車で出かけることが多かった。
大丈夫、俺は安全運転だから。と、根拠のない過信があった。

キーッ。ドンッ。

大きな音がして、強い衝撃が運転席の俺を襲う。
エアバックのせいだろうか、一瞬で目の前が真っ暗になり俺は気を失った。