「お見合い、したんだろう？」
「まあな」

人の見合い話をそんなに聞きたいんだろうか？
時間の無駄だと思うけれど。

「で、どんな女だ？」
「どんなって・・・まず、女って呼ぶことに違和感がある」
「じゃあ、男か？」
「そうじゃなくて」
思わず睨んでしまった。

「バカ、冗談だよ」
一颯は笑っているけれど、
「こっちは笑い事じゃないんだ」

もしも、もしもこのまま結婚なんて話が出たら、俺はどうすればいいんだ。
一生あのお嬢様のお守りなんて、想像しただけで気が重い。

「嫌なら断ればいいだろう」
あっさりと言ってのける一颯。
そんな簡単な話なんだろうか？